Grand Seikoを買った

思うところがあって、2022年度末にGrand Seikoを購入した。


セイコー社を信頼している

思えば、セイコー社との付き合いは長い。成人のときに購入してもらったセイコー5(7S26)、就職祝いに購入してもらったクロノグラフ(7T62)。いずれも10年以上使っている。

さすがに調整もかねて修理に出さねばと思っていたが、どこに依頼するかとは思案のしどころであった。近所に時計店は無いうえ、節目節目での大事な時計であるがゆえ、大手家電量販店の時計修理に出すのも気が引ける。なぜなら、彼らは時計専門では無いからであり、結局取次だろう。どこに取り次がれるのか分からないあたり、聞けば教えてくれるのだろうが不安ではある。しからば、セイコー社に修理してもらおうと思った次第である。

さすがに10年を過ぎた時計なので、修理ができないか、できるにしても高額になるだろうと予想していたが、それはいい意味で裏切られた。クロノグラフは全体的な修理・調整を依頼して約2万円。セイコー5は今、オーバーホールに出しているがバンドを新品に交換して約1万円。さすがにオーバーホールには時間がかかり、またバンドの手配に時間を要していることから2か月程度時間がかかっているが、クロノグラフのクォーツは2週間程度で修理・調整してくれた。10年を超えても、普通に修理してくれるあたりさすがだと思う。

サンプル数2であるが、こういう経緯があって、私はセイコー社のアフターサービスを信頼している。ほかのメーカーも同じなのかも知れないが、私は修理までしてもらったことはないのでよくわからない。

そしてGrand Seikoへ

いずれ、「きちんとした」腕時計が欲しいと思っていた。「きちんとした」というのの私なりの定義はこんなところである。

  • 3針であること。
  • 駆動方式は機械式であること。理想は、自動巻きではなく手巻きで、ノンデイトであること。
  • 煌びやかでなく、目立たないこと。
  • 製造工程が可視化されていること(工場を見ようと思えば見学できること)。
  • 修理の体制が整っていて、長く使えること。
  • 大きくとも直径40mm以内であること。
  • 国産であること。

日本にはセイコー社のほかに、シチズン時計社やオリエント時計社といった時計メーカーがあるが、あいにくそれらのメーカーの時計を購入し、修理までを受けた経験はなかった。シチズン時計社のザ・シチズンや、オリエント時計社のメカニカルムーンフェイズ等は実に興味深いところであったが、上記の経験から、自分にとってはセイコー社しかなかった。なお、国産であることの理由は、単純に検討の選択肢を増やすのが面倒くさいということである。

結局、購入したのは「SBGR315」というモデルである。私にとっての「きちんとした」を、手巻き・ノンデイトを除いて満たしている。妥協した理由は、店員から秒針加工技術の話を伺ったことと、金属バンドの装着感が良かったことである。革バンドのモデルもあったが、ちょうどこれから暑くなっていく時期でもあったので、外した。

購入してから

「この腕時計の何が良いのか?」と聞かれたときに、いろいろな答えが出るんだろうと思ったが、実際には答えられないというのが実感である。自分にとって「きちんとした」時計である、というのが答えになるかと思ったが、実際にオーナーになると、この時計に特筆すべき良さは無いと思う。だが、これが左腕に付いていないと、しっくりこないというか、違和感を感じてしまう。そういう意味で、自分にとっては時間に関するパートナーを得たようなものであるからして、パートナーの良し悪しを尋ねるのもナンセンスというものだし、そんなものに答えることは難しいことであるがゆえ、先の質問に答えが出ないのだろうと納得している。